バンクシーの起こした騒動10選

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バンクシー
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イギリスのロンドンを中心に匿名で活動するストリートアーティスト、「芸術テロリスト」バンクシーが引き起こした、社会的話題となった騒動について10件をご紹介します。

「少女と風船」のオークションでの自己破壊

2018年10月、ロンドンのサザビーズで開催されたオークションにて、バンクシーの代表作の1つである「少女と風船」が115万ポンド(約17億円)で落札されました。しかし、落札後すぐに、作品が設置されたフレーム内部からシュレッダーが現れ、作品が自己破壊されたのです。

バンクシーはこの自己破壊を、自身のInstagramアカウントで「ラブ・イズ・イン・ザ・ビン」というタイトルで公表しました。バンクシーは、自己破壊した作品が、今後は新たな作品として存在し、より高い価値を持つと述べました。この自己破壊は、バンクシーが彼の作品を巡る商業化と芸術の二元性についてのスタンスを表明したものと解釈されています。

この自己破壊が実際にどのように実現されたのかは、正確には分かっていませんが、バンクシーはこの作品をオークションにかける前に、シュレッダーを内蔵したフレームを制作し、オークションが終了した時点でリモートコントロールでシュレッダーを作動させるように仕組んでいたと報じられています。

「ドーバーの壁」の販売と撤去

「ドーバーの壁」とは、2017年にバンクシーがドーバーのフランス海峡を望む壁に描いた作品で、テーマはブレグジット(英国のEU離脱)に対する風刺です。

この作品は2019年に、バンクシー自身によって販売されました。販売価格は現地通貨で10ポンド(約1,500円)で、販売期間はわずか4日間でした。なお、販売はオンラインで行われ、購入者には証明書が発行されました。

しかし、この作品の壁への描画は許可を得ていなかったため、イギリスの警察が壁に立ち入り、壁に描かれた作品を切り取って撤去することになりました。バンクシーはこの作品を売却する際に、壁に描かれた作品の複製品を作成し、オリジナルを切り取って販売することで、作品のメッセージ性を残すことを意図していたと報じられています。

この作品の売却によって、バンクシーは風刺的な作品に対する商業価値の高さを証明し、また彼自身が芸術市場における影響力を持っていることを示しました。

「フラワー・スロー」の消失

「フラワー・スロー」は、2010年にバンクシーがロンドン南部の建物に描いた作品で、赤い花瓶に入った花束がスローモーションで飛散している様子が描かれています。この作品はバンクシーが自身のウェブサイト上で公開したものであり、世界中から注目を集めました。

しかし、2013年に建物が取り壊される際に、この作品は消失しました。バンクシーは消失を自身のウェブサイト上で「なくなった」と報告し、芸術家の作品が消失する現象についての考察を提示しました。

一方、この作品が消失した背景には、バンクシーが自身の作品を保存するために、しばしば不動産オーナーに作品の所有権を贈与することがあるため、不動産オーナーが作品を持ち去った可能性も指摘されています。

「フラワー・スロー」は消失したものの、バンクシーの作品が世界中に多く存在することから、彼が芸術において大きな影響力を持つことが示されました。また、彼の作品の一部が消失することで、彼が芸術市場を批判し、商業化に反発するスタンスを表明することにもつながったと考えられます。

「キササギとクマ」の発見

「キササギとクマ」は、2021年3月にバンクシーがインスタグラム上に投稿した作品で、イギリス・ブリストル市内にある公共交通機関の建物に描かれたものでした。作品は、キササギがスーツを着たクマに向かっている様子が描かれており、バンクシーの風刺的なメッセージが込められているとされました。

しかし、この作品はバンクシーの公式ウェブサイトやソーシャルメディア上で発表されていなかったため、真偽のほどについては疑問が残っていました。

その後、2021年3月現地時間の深夜に、バンクシー自身がこの作品が本物であることを確認する動画を公開しました。動画では、作品が描かれた建物の周辺を飛び回るドローンが映し出され、作品の正確な位置が確認されています。

この作品は、バンクシーの作品としては比較的規模が大きく、公共交通機関の建物に描かれたことから、多くの人々に注目されました。また、バンクシーがインターネット上でのみ作品を発表することが多かったため、彼が芸術において新たな表現方法を模索していることを示すものとされています。

ガザ地区の壁に描かれた作品

バンクシーが描いたガザ地区の壁の作品は、2005年に描かれた「ガザ地区の壁に描かれた少女」と、2015年に描かれた「人間の犠牲は何のためにあるのか?」の2作品が知られています。

「ガザ地区の壁に描かれた少女」は、実際にガザ地区の壁に描かれた作品で、壁には泣き顔をした少女が描かれています。彼女はベッドシートを背景に、両手で風船を持って空に向かっている様子が描かれており、自由を求める子供たちの願いを象徴しています。

「人間の犠牲は何のためにあるのか?」は、同じくガザ地区の壁に描かれた作品で、瓦礫の山の上に、人間の目玉を持つロボットが描かれています。ロボットの手にはフラワーガーランドが描かれており、平和と人間性を象徴するものとされています。

これらの作品は、バンクシーが政治的なメッセージを込めた作品を描くことで知られており、イスラエル・パレスチナ紛争における問題を取り上げたものとされています。また、ガザ地区の壁に描かれたことで、国際的な注目を集め、芸術と政治を融合させた彼の作品が社会的な影響力を持つことを示しました。

2013年のニューヨーク市街地芸術祭への参加

2013年にバンクシーは、ニューヨーク市街地芸術祭に参加しました。このプロジェクトは、彼が「Better Out Than In」と名付けた街中でのアート展示でした。

プロジェクトは1か月間続き、毎日街中で新しいアート作品が発表されました。作品には、壁に描かれたロボット、カナリアの鳥かご、移動式の彫刻、テレビ番組のパロディ、そしてトラックに積まれた動物の肉が展示されたトラックなど、多岐にわたるものがありました。

バンクシーは、インターネット上でのヒントやツイートなどを通じて、新しい作品が発表される日や場所を発表しました。展示は、都市生活や消費文化、現代社会の問題に対する彼の見解を表現したものでした。

このプロジェクトは、彼の芸術的才能と、彼の作品が大衆に受け入れられ、世界中で注目されていることを示すものとなりました。また、展示は大規模な盗難や損壊のリスクがあったため、彼の作品が現代芸術市場で高い価値を持つことを再度証明しました。

トリニティ・スクエアのロンドン芸術祭での作品展示

バンクシーは、2003年にロンドンで開催されたトリニティ・スクエアの芸術祭に参加しました。彼は、2002年に発表された「Morons」という作品に続いて、彼の代表作である「キス(Kissing Coppers)」を展示しました。

「キス」は、2人の制服警官が熱烈なキスを交わしている様子を描いた作品で、バンクシーの作品の中でも特に有名なものの1つです。この作品は、ストリートアートの中でも特に政治的なメッセージを持ったもので、同性愛者やLGBTQ+の権利を支持するものとして解釈されることが多く、その後も世界中で多くの人々に愛され続けています。

トリニティ・スクエアの芸術祭は、ロンドンの中心部で開催され、多くの芸術家が参加していました。バンクシーの作品は、会場に隣接する建物の壁面に描かれ、大勢の人々に見られることとなりました。当時は、ストリートアートはまだまだ一般的には受け入れられていない時代でしたが、バンクシーの作品は、社会的な問題に対する批判的な見方を示すと同時に、新しい芸術の形として注目されました。

ニューヨークのギャラリーにて偽物作品の展示

2013年にニューヨークで開催されたバンクシーの個展「Better Out Than In」において、バンクシーが偽物の作品を展示したことが話題となりました。

バンクシーは、この個展の期間中、ニューヨーク市内の様々な場所に作品を展示しましたが、その中には、既に存在する作品を模倣した偽物の作品もありました。これらの偽物作品には、バンクシーのオリジナル作品を模倣したものから、他のアーティストの作品を模倣したものまで、さまざまなものが含まれていました。

偽物作品は、バンクシー自身が制作したオリジナル作品と同様に、展示場所であるニューヨークのギャラリーで展示され、多くの人々に見られることとなりました。この行動は、バンクシーがアート市場や芸術作品の価値に対する疑問を持っていることを示すものであり、バンクシーの作品が売買されることに対する批判的な立場を表明するものでもありました。

この個展は、バンクシーの作品を観るために多くの人々が訪れ、一大現象となりました。偽物作品の展示もまた、注目を浴びることとなり、バンクシーの作品に対する興味を一層高めるきっかけとなりました。

フランスの大統領選挙への作品投稿

2017年、フランスの大統領選挙において、バンクシーは自身の作品を投稿しました。この作品は、フランスの国旗に似たデザインで、中央には鉛筆で描かれた一本の線があり、その下には「FN(フロン・ナショナル)が勝利することは決してありません」というメッセージが書かれています。

この作品は、フロン・ナショナル(FN)と呼ばれる極右政党のマリーヌ・ルペンが大統領選挙で勝利することを阻止するために投稿されたものでした。この作品は、フランスのストリートアートのグループであるFifty-Fiftyが主催したアートコンテストに投稿され、ネット上で話題となりました。

この作品は、バンクシーが政治的メッセージをアートで表現することに長年にわたって取り組んできたことを示しています。また、バンクシーは、フランスの極右勢力に対する批判的な立場を表明することで、社会的な問題に関心を持つアーティストとしての立場を強めたと言えます。

オーストラリアのシドニーでの展覧会差し止め要求

2010年、バンクシーの作品を展示するオーストラリアのシドニーでの展覧会が予定されていました。しかし、地元の市議会議員らが、バンクシーが公共の場での芸術活動を行っているために逮捕されたことがあることを理由に、展覧会の差し止めを要求しました。

この要求に対して、バンクシーは自身のウェブサイトで声明を発表し、シドニー市長に対して「展覧会を許可するよう要求する署名を集めている」と述べました。また、バンクシーは「私たちは、壁に落書きをすることを違法行為として非難されることがあるかもしれませんが、芸術は違法ではありません。芸術は、時には不快であるかもしれませんが、それが人間の本質なのです」と述べ、自身のアートに対する信念を表明しました。

最終的に、展覧会は開催され、多くの人々がバンクシーの作品を見ることができました。バンクシーは、社会的・政治的な問題に対して強い関心を持ち、その立場をアートを通じて表現しています。

最後に

その作品や大胆なパフォーマンスが話題となるバンクシー。そのアート作品だけではなく、彼の行なったパフォーマンスについても知っておくと楽しいですよね。

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